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ビザと在留資格の違いについて

7月13日
読了時間: 13分

更新日:3 日前

「ビザを取得しなければ日本に来られない」「ビザを持っているから働ける」——日常会話でよく耳にするこれらの言葉、実は厳密には正確ではないことが多いです。


「ビザ(査証)」と「在留資格」は別の制度・別の概念です。どちらも外国人が日本に入国・滞在するために必要な要素ですが、発行機関・目的・法的根拠がまったく異なります。


この記事では、在留資格申請を専門に扱う行政書士が、ビザと在留資格の違いを図解とともにわかりやすく解説します。外国人本人はもちろん、外国人を雇用・招聘する企業担当者の方にも役立つ内容です。


一言でわかる:2つの決定的な違い

VISA(査証)


ビザ 査証(さしょう)


発行機関


外国にある日本大使館・総領事館


(外務省が所管)


タイミング


入国前に取得する


目的・役割


入国審査の推薦状。「この人は審査に足る人物です」という外務省の証明


法的根拠


出入国管理及び難民認定法第7条の2


パスポートに貼付されるスタンプ・シール


≠


ZAIRYU SHIKAKU(在留資格)


在留資格 Residence Status


決定機関


日本の入国審査官


(出入国在留管理庁が所管)


タイミング


入国時(または入国後)に付与される


目的・役割


日本国内での活動内容・滞在期間を定める許可。「この資格の範囲で活動できます」


法的根拠


出入国管理及び難民認定法第2条の2


在留カード・パスポートの上陸許可印に記載


まず覚えておくべき1つの本質的な違い


ビザ(査証)は「入国する前」の外務省による推薦状・認定証です。一方、在留資格は「入国するとき(または後)」に出入国在留管理庁が付与する、日本国内での活動・滞在の許可です。ビザは「日本の門をくぐる前の切符」、在留資格は「日本に入ってから何ができるかの資格証」——このように理解すると混乱しにくくなります。


「ビザ(査証)」とは何か

ビザ(査証)の正式名称は「査証(さしょう)」といいます。英語では「Visa」。日本語の「ビザ」は英語のVisaをそのままカタカナにしたものです。


法的には、出入国管理及び難民認定法(入管法)第7条の2に規定される概念で、「外務大臣または領事官が、有効な旅券を所持する外国人の日本への渡航について、当該旅券が有効であることと申請者が上陸申請をするにあたり支障がないと認めるときに発給する推薦状的な証明」とされています。


重要なのは、ビザは「入国を保証するものではない」という点です。ビザを持っていても、入国審査官が上陸を不許可にする場合があります。あくまで「入国審査を受ける資格がある」という外務省からの推薦状・認定証にすぎません。


ビザが不要な場合(査証免除・短期滞在)

日本は多くの国と「査証免除協定(ビザウェイバー)」を締結しており、対象国の国民は一定期間(多くは90日以内)のビザなし渡航が認められています。2026年7月時点で68の国・地域が対象です。


「査証免除=在留資格も不要」ではありません。ビザなしで入国した場合でも、入国審査時に入国審査官から「短期滞在」の在留資格が付与されます。


査証と上陸許可は別の概念


ビザ(査証)を取得しただけでは日本への上陸は確定しません。日本に到着した際、入国審査官による「上陸許可」が別途必要です。上陸許可が出た時点で在留資格と在留期間が決定します。査証を持っていても、入国審査で上陸を拒否されることがあります。


「在留資格」とは何か

在留資格は、出入国管理及び難民認定法(入管法)第2条の2に基づく制度で、「外国人が日本に在留して行うことができる活動または身分・地位」を類型化したものです。


日本の入国審査官が、外国人の申請内容・書類・目的等を審査したうえで付与します。在留資格によって、「何の活動ができるか(就労できるか・できないか、どの業種か)」「何年・何か月滞在できるか」が決まります。


在留資格は大きく4種類に分類されます。


カテゴリー

主な在留資格の例

就労

特徴

就労系

技術・人文知識・国際業務、高度専門職、経営・管理、特定技能、興行、技能など

✅ 資格範囲内で可

活動内容・業種が在留資格によって限定される。資格外で働くと違反になる

身分系

永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者

✅ 制限なし

身分・地位に基づく。就労活動に制限がなく、職種を問わず働ける

長期在留

留学、家族滞在、文化活動、研修など

❌ 原則不可 (資格外活動許可で一部可)

就労目的ではない活動。アルバイトをする場合は「資格外活動許可」が必要

短期・その他

短期滞在、特定活動

❌ 原則不可

観光・商用・親族訪問など短期目的。特定活動は上記に当てはまらない活動の包括類型


入国から在留までのプロセス——どこでビザが、どこで在留資格が関わるか

ビザと在留資格が、入国から在留のどのフェーズで関わるかを整理します。


STEP 01 ─ 入国前(海外)


在留資格認定証明書(COE)の取得


日本で働く・学ぶ等の目的で長期在留を希望する場合、招聘機関(雇用企業・学校等)が出入国在留管理庁に「在留資格認定証明書(COE)」の交付申請を行います。これは「この外国人に在留資格を付与することが適当と認定する」という証明書であり、ビザ申請に使用します。


※短期滞在・観光目的の場合はCOEは不要です。


STEP 02 ─ 入国前(海外の大使館・総領事館) ← ここが「ビザ(査証)」


ビザ(査証)の申請・取得


COEを持参し(または査証免除対象外の場合は必要書類を揃えて)、居住地を管轄する日本大使館・総領事館でビザ申請を行います。外務省がビザ(査証)を発給します。ビザはパスポートに貼付されるシール・スタンプです。これが「ビザを取得する」という行為の実態です。


── 日本に到着 ──


STEP 03 ─ 入国時(空港・港の入国審査) ← ここで「在留資格」が決まる


上陸許可・在留資格の付与


入国審査官がビザ・COE・パスポート等を確認し、上陸を許可します。この上陸許可印に在留資格・在留期間が記載されます。ここで初めて在留資格が正式に付与されます。中長期在留者には後日「在留カード」が発行されます。


STEP 04 ─ 入国後(日本国内) ─ ここからは「在留資格」のみが関わる


在留・活動・在留資格の更新・変更


日本国内での活動は在留資格の範囲内で行います。在留期間が近づいたら「更新許可申請」、活動内容が変わった場合は「変更許可申請」を行います。これらはビザとは無関係で、すべて出入国在留管理庁(入管)への手続きです。「ビザの更新」という言い方は厳密には誤りで、正しくは「在留資格の更新」です。


よく混同される5つのケース

日常的に使われる「ビザ」という言葉が、実は在留資格のことを指しているケースが多くあります。以下の5つは特に混同されやすい典型例です。


❌


「ビザを更新した」


ビザ(査証)はすでに入国した時点で役割を終えており、国内で更新するものではありません。日本国内で行う手続きは「在留期間更新許可申請」です。正確には「在留資格を更新した」が正しい表現です。


❌


「就労ビザを持っているから働ける」


「就労ビザ」という在留資格は存在しません。就労できるのはビザではなく、「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」「高度専門職」などの在留資格を持っているからです。ビザは入国前の証明書であり、就労の可否は在留資格が決めます。


❌


「ビザなしで来日した人は働けない」


査証免除(ビザウェイバー)でノービザで来日した人でも、在留資格「短期滞在」が付与されています。「ビザなし=在留資格なし」ではありません。ただし短期滞在では就労できないのは事実で、これは「在留資格の制限」によるものです。


❌


「在留カード=ビザ」と思っている


在留カード(Residence Card)はビザではありません。在留カードは日本国内で付与された在留資格・在留期間・活動制限の有無を証明する国内の証明書です。ビザはパスポートに貼られるものです。


❌


「ビザを申請する=行政書士に頼む」という誤解


行政書士が代理・取次をできるのは「在留資格(在留資格認定証明書・変更許可・更新許可)の申請」であり、ビザ(査証)そのものの申請代理は行政書士の業務ではありません(ビザ申請は大使館への直接申請)。ただし、ビザ取得のための在留資格認定証明書の申請取次は行政書士が行えます。



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⭕


正確な使い方の例


「技術・人文知識・国際業務の在留資格を取得した」


「在留期間を更新した(更新許可申請を行った)」


「日本ビザ(査証)を大使館で取得して入国した」


「在留資格を変更して就職した(在留資格変更許可申請)」


「在留カード」とは何か——ビザとどう違う?

在留カード(Residence Card)は、中長期在留者(在留期間が3か月を超える在留資格を持つ外国人)に対して、出入国在留管理庁が交付する国内の証明書です。ICチップが内蔵され、偽造が困難な作りになっています。


在留カードに記載されている主な情報


氏名・生年月日・性別・国籍


本人識別情報。パスポートと表記が異なる場合に注意が必要。


在留資格


「技術・人文知識・国際業務」「永住者」「留学」など、付与された在留資格の種類が記載される。


在留期間・在留期間の満了日


在留が許可されている期間と、いつまでの在留が認められているかの日付。この日までに更新申請が必要。


就労制限の有無


「就労不可」「在留資格に基づく就労活動のみ可」「就労制限なし」のいずれかが記載される。雇用時に必ず確認が必要。


住居地


住民登録された住所が記載される。転居した場合は14日以内に市区町村で変更手続きが必要。


更新申請中・申請中ステッカー


在留期間の更新・変更申請中は、申請受付のシールが貼付され、申請中であることが示される。


在留カードの記載事項の確認は出入国在留管理庁「在留カードの見方」で詳しく説明されています。雇用する外国人の在留カードを確認する際は「在留資格」「在留期間の満了日」「就労制限の有無」の3点を必ず確認してください。


在留資格の種類(主要なもの)

在留資格は入管法の別表に列挙されています。2026年7月時点で29種類の在留資格が規定されています(特定活動は告示によって細分化されているため、実質的にはさらに多くなります)。


在留資格

対象・活動内容

就労

就労系 高度専門職1号・2号

ポイント制で70点以上の高度外国人材。研究・技術・経営活動等

✅ 可(範囲内)

技術・人文知識・国際業務

エンジニア・通訳・マーケティング等。いわゆる「技人国ビザ」と呼ばれる

✅ 可(範囲内)

特定技能1号・2号

介護・建設・製造等14分野の外国人材

✅ 可(範囲内)

経営・管理

企業経営者・管理職

✅ 可(範囲内)

興行

プロスポーツ選手・芸能人等

✅ 可(範囲内)

技能

外国料理の調理師・スポーツ指導者等

✅ 可(範囲内)

身分系 永住者

永住許可を受けた外国人

✅ 制限なし

日本人の配偶者等

日本人と婚姻した外国籍配偶者・その子等

✅ 制限なし

定住者

日系人・中国残留邦人の配偶者等

✅ 制限なし

長期在留 留学

大学・専門学校・日本語学校等の学生

❌ 原則不可(資格外で週28時間まで)

家族滞在

就労系在留資格者の配偶者・子

❌ 原則不可(資格外で週28時間まで)

短期・その他 短期滞在

観光・商用・親族訪問等の短期目的(最長90日)

❌ 不可

特定活動

上記に当てはまらない活動の包括類型(告示により細分化。ワーキングホリデー・介護実習生・オリンピック関係者等)

告示による


※在留資格の全リストは出入国在留管理庁「在留資格一覧表」でご確認ください。


覚えておくべき関連用語まとめ

査証


(ビザ)


Visa / 査証(さしょう)


外国にある日本大使館・総領事館が発給する入国のための推薦状。パスポートに貼付されるシール・スタンプ。入国前に取得するもの。入国を保証するものではない。


在留


資格


Residence Status / 在留資格


出入国在留管理庁が付与する、日本国内での活動内容・滞在期間の許可。29種類があり、就労可否・業種・在留期間が決まる。ビザとは別の概念。


在留


カード


Residence Card / 在留カード


中長期在留者に交付される国内の証明書。在留資格・在留期間・就労制限の有無等が記載される。在留カードはビザではなく、在留資格を証明するカード。


上陸


許可


Landing Permission / 上陸許可


入国審査官が行う、外国人の日本上陸を認める行政処分。この時点で在留資格・在留期間が決定する。パスポートに上陸許可印が押される。


COE


在留資格認定証明書(Certificate of Eligibility)


出入国在留管理庁が発行する、「この外国人に在留資格を付与することが適当」という証明書。日本の招聘機関が申請し、取得後に外国人がビザ申請に使用する。


査証


免除


ビザウェイバー / 査証免除協定


日本と協定を結んだ国の国民がビザ(査証)なしで入国できる制度。ビザが不要でも在留資格(短期滞在)は入国時に付与される。ビザ≠在留資格である典型例。


よくある質問(FAQ)

はい、日本語の日常会話では「ビザを取った」「就労ビザ」「配偶者ビザ」「ビザの更新」のように使われますが、これらは厳密には在留資格のことを指しています。入管実務では、ビザ(査証)と在留資格は明確に区別されます。行政書士に相談する際に「ビザ」という言葉を使っても伝わりますが、専門家はビザと在留資格を別々に整理して対応します。

「就労ビザ」という名称の在留資格は存在しません。日常的に「就労ビザ」と呼ばれているのは、「技術・人文知識・国際業務」「高度専門職」「特定技能」「経営・管理」「技能」などの就労が可能な在留資格の総称です。就労できるかどうかは在留資格の種類によって決まり、ビザの種類ではありません。

行政書士が代理・取次できるのは在留資格の申請(在留資格認定証明書の申請・在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請等)です。ビザ(査証)そのものの申請は大使館・総領事館に対して直接行うものであり、行政書士が代理申請する制度はありません。ただし、ビザを取得するために必要な「在留資格認定証明書」の取得は行政書士がサポートできます。当事務所でも在留資格の申請取次サポートを行っています。

在留カードは国内在留中の資格証明です。日本から一時出国して再入国する場合は、在留カードの在留資格が維持されていれば「みなし再入国許可」(有効期限1年以内の出国の場合)や「再入国許可」を利用できます。査証免除の対象国の外国人はノービザで再入国できますが、非対象国の方は再入国ビザが必要な場合があります。在留カードがあれば必ずビザなしで再入国できるわけではないため、渡航前に必ず確認してください。

外国人を雇用する際に確認すべき在留カードの3点は、①在留資格の種類(その資格で就労できるかどうか)、②在留期間の満了日(期限切れでないか)、③就労制限の有無(「就労不可」と記載がないか)です。「就労不可」の方を雇用したり、在留資格の範囲外の業務に従事させると、雇用主も「不法就労助長罪」として処罰される可能性があります(入管法第73条の2)。不明な点は行政書士にご相談ください。


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本記事は、出入国在留管理庁「在留資格一覧表」・外務省「ビザ(査証)」等の公式情報をもとに2026年7月9日時点で作成しています。在留資格・査証に関する制度は随時変更されます。最新情報は必ず出入国在留管理庁・外務省の公式サイトでご確認ください。本記事は情報提供を目的としており、個別の法的アドバイスではありません。


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