採用から入国・就労開始までの全ステップ:複雑な申請フローを徹底解説(特定技能シリーズ第3回)
更新日:3 日前
特定技能の受入れを決め、対象となる分野も特定できた。次に待っているのは、いよいよ具体的な「申請手続き」です。特定技能の申請は、ただ書類を出すだけでなく、企業側が「特定技能の受入れにふさわしいか」を厳格に審査されるプロセスです。
本回では、採用から入国・就労開始までに必要な膨大なステップと、審査を円滑に進めるためのポイントを詳しく解説します。
申請プロセスの全体像:5つの主要ステップ
特定技能外国人を採用し、就労を開始するまでには、大きく分けて5つのステップが必要です。
ステップ1:雇用契約の締結と事前ガイダンス
まずは、特定技能外国人と雇用契約を結びます。特定技能では、労働条件が日本人と同等以上であることや、報酬額が適切であることが法律で決まっています。また、契約締結後には、本人に対して日本での生活やルールに関する「事前ガイダンス」を実施し、その実施記録を作成しなければなりません。
ステップ2:支援計画の作成と受入れ体制の整備
「どのような支援を行うか」を定めた「1号特定技能外国人支援計画」を作成します。これには、入国時の送迎、住居探し、生活オリエンテーション、行政手続き同行など、法律で定められた支援項目が含まれます。自社で行うか、登録支援機関に委託するかを確定させ、体制を整えます。
ステップ3:各分野の協議会への加入
ここが建設業など特定の業種で特に重要となるポイントです。特定技能制度は、各産業分野の「協議会」に加入することが義務付けられています。協議会では、制度の運用に関する情報共有が行われます。多くの場合、この加入証明がないと、入管への申請ができません。
ステップ4:入国管理局への在留資格申請
全ての書類が揃ったら、出入国在留管理庁へ「在留資格認定証明書(COE)」の交付申請を行います。外国人が現在どこにいるか(日本国内にいるか、海外にいるか)によって申請先や手順が変わるため、ここが実務上の最大の山場となります。
ステップ5:入国手続きと就労開始
COEが交付されたら、外国人が自国の大使館でビザの発給を受け、入国します。入国後は、住民登録や社会保険への加入などの手続きを終え、ようやく「特定技能外国人」として就労を開始できます。
申請をスムーズに通すための「書類」のポイント
申請時に審査官が見るのは、「法令順守の姿勢」と「受入れの実態」です。
①整合性を保つこと: 雇用契約書、支援計画、賃金台帳、会社案内など、すべての書類で情報に齟齬があってはなりません。例えば、「給与はいくらか」「仕事内容は何か」という点は、すべての書類で統一されている必要があります。
②証明書類の厳密さ: 資格要件を証明する「試験合格証」や、学歴を証明する「卒業証明書」などは、真正性(偽物でないこと)が厳しくチェックされます。海外の書類については、翻訳文を添えるなどの丁寧な作業が求められます。
③会社の経営状況: 外国人を適正に雇用し続ける体力があるか、という経営面での審査もあります。赤字続きの決算書などが出ている場合、単に申請書を出すだけでなく、今後の改善計画などを添えるなどの工夫が必要な場合があります。
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協議会への加入というハードル
特定技能制度において、協議会への加入は「任意」ではなく「義務」です。しかし、この協議会への加入申請は、分野によっては非常に事務手続きが煩雑で、時間がかかる場合があります。
申請のタイミングと協議会の加入時期がずれると、それだけで審査が数週間止まってしまうこともあります。あらかじめ、その分野の協議会が「いつ、どのような形式で」加入を認めているのかを、担当官や団体に事前に確認しておくことが、スケジュールの遅延を防ぐ唯一の方法です。
まとめ:準備期間の「3か月」は想定しておく
これらのプロセスをすべて自社で行う場合、最短でも3〜4か月程度の期間を想定しておく必要があります。特に海外からの呼び寄せの場合は、現地のビザ発給のスピードにも左右されます。
「すぐにでも人材が欲しい」という経営者様の焦る気持ちは重々承知しておりますが、手続きを急ぎすぎて書類に不備が出てしまうと、審査はさらに長期化します。最初から「しっかりと手続きを踏むために、準備期間を3か月確保する」という余裕を持った計画を立てることが、結果として最短で人材を確保する方法なのです。
次回は、「特定技能外国人をサポートする『支援計画』の重要性」について深掘りします。なぜ入管は支援計画をこれほどまでに細かくチェックするのか、その真意をお伝えします。
開田行政書士事務所のご紹介
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