機体登録とリモートID:申請の前提条件をクリアする実務ガイド(ドローン許可シリーズ第4回)
ドローンの飛行許可申請を検討する際、多くの方がまず直面するのが「機体登録」と「リモートID」の壁です。航空法の改正により、現在、100g以上の無人航空機を屋外で飛行させるためには、国への機体登録が義務付けられています。これらは飛行許可申請と密接に連動しており、登録が完了していない機体は、そもそも飛行許可の申請を受け付けてもらえません。
今回は、機体登録のプロセスと、リモートIDの仕組み、そして申請において陥りやすい注意点について詳しく解説します。
機体登録の義務化とその目的
航空法において、無人航空機の機体登録は「誰が所有し、どのような機体か」を明確にし、万が一の事故の際に所有者を特定するために義務付けられています。登録が完了すると、機体ごとに「登録記号(無人航空機登録記号)」が発行されます。
この登録記号は、機体の外観に恒久的な方法(シールや刻印など)で表示しなければなりません。登録のないドローンを屋外で飛ばすことは、たとえ許可申請をしようとしても、大前提となる航空法の義務を果たしていないとみなされます。
リモートIDとは何か:空のナンバープレート
リモートID機器とは、ドローンの機体情報や位置情報などを、電波を使って外部へ発信する装置のことです。いわば、空を飛ぶドローンの「デジタルナンバープレート」といえます。
2022年6月20日以降に新しく登録されたドローンは、原則としてリモートID機器を搭載しなければなりません。リモートIDには「内蔵型」と「外付型」があり、メーカーがあらかじめ内蔵しているモデルもあれば、後付けの機器を購入して装着するモデルもあります。
申請前に知っておくべき「登録・ID」のステップ
機体登録から許可申請までは、以下のステップで進めるのが最もスムーズです。
①機体の購入と確認:
購入予定のドローンが、日本の技術基準適合証明を取得しているか(技適マークがあるか)、リモートIDが内蔵されているかを確認します。海外製のドローンには、リモートIDが対応していないモデルもあるため注意が必要です。
②DIPSでの機体登録申請:
飛行許可申請と同じ「DIPS2.0」システムから、機体登録を行います。所有者情報、製造者情報、型式などを入力します。
③登録料の支払い:
申請後、手数料を支払うと登録記号が発行されます。
④登録記号の表示:
発行された記号を機体へ表示します。この状態になって初めて、その機体は「飛行可能な機体」となります。
⑤飛行許可申請との紐付け:
飛行許可申請時には、登録された機体の「登録記号」を紐付けて申請を行います。これにより、許可申請と機体情報が完全にリンクされます。
リモートIDの落とし穴:よくあるトラブル
実務では、以下のようなミスで申請が止まることがよくあります。
◇リモートIDの誤入力: 外付型のリモートIDを装着している場合、機器のID番号を誤って登録してしまうと、飛行時に電波が正しく認識されません。
◇内蔵IDの確認不足: 「内蔵型」と信じて申請したものの、実は対応していなかった、あるいはアップデートが必要だったというケースです。メーカーの仕様書を必ず確認しましょう。
◇機体登録の有効期限忘れ: 機体登録にも3年という有効期間があります。更新を忘れると、当然ながら飛行許可も無効になります。
なぜこの手間をかけるのか
「ただ飛ばしたいだけなのに、登録やID送信なんて面倒だ」と思われるかもしれません。しかし、ドローン産業が健全に発展するためには、事故発生時の責任の所在を明確にすることが不可欠です。また、今後ドローンの飛行ルートが混雑してくる将来を考えると、空域の管理という観点からも、デジタルでの機体識別は国際的な標準となりつつあります。
適正に機体登録とリモートIDの管理を行っていることは、「この企業はルールを遵守している」という証明になります。この準備の積み重ねが、将来的に飛行ルートの拡大や、より高度な飛行許可を得るための土台となるのです。
次回は、「操縦者のライセンスと技能証明:国家資格の活かし方と、飛行実績の積み方」について解説します。国家資格がある場合とない場合で、申請の難易度がどう変わるのかをお話しします。
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