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特定技能の報酬と労働条件:「日本人と同等以上」をどう証明し、どう守るか(特定技能シリーズ第5回)

4月28日
読了時間: 5分

特定技能外国人を採用する際、必ず壁となるのが「報酬要件」です。「安く雇える人材」を探している企業様には残念なお知らせですが、特定技能制度において、外国人材を日本人より低い賃金で雇用することは法律で厳格に禁じられています。


第5回では、特定技能制度の根幹を成す「日本人との報酬・労働条件の同等性」について、判断基準から実務上の証明方法までを徹底解説します。


報酬要件の「基本ルール」とは

特定技能制度における報酬要件は、以下の二つの柱で成り立っています。


①日本人と同等額以上であること: 「同じ業務を行う日本人の報酬額」と比較して、同等以上の額を設定しなければなりません。ここでいう報酬には、基本給だけでなく、賞与や諸手当も含まれます。


②法で定める額以上であること: 日本の最低賃金法を遵守することは当然の前提であり、その上で、業種ごとに定められた報酬基準を下回らないように設定する必要があります。


これは「外国人だから」という特別な例外は一切認められず、むしろ「外国人材の経済的基盤を守ることで、不当な労働環境に置かれることを防ぐ」という制度の意図が反映されています。


「日本人と同等額」をどう算出するか

実務で最も悩ましいのが、「比較対象となる日本人は誰なのか」という点です。会社に同等の業務を行う日本人がいれば分かりやすいのですが、そうでない場合も多くあります。その際の判断基準は以下の通りです。


①社内規定の適用: 日本人の従業員に対する給与体系や昇給規定などが整備されている場合、その規定を外国人にも適用することで、同等性を説明します。


②近隣類似企業の水準: もし社内に比較対象がいない場合、地域の類似する企業で同じ業務を行っている日本人の賃金水準を参考にします。


③具体的な金額の明示: 雇用契約書において、月額報酬だけでなく、賞与の有無や諸手当の内訳を詳細に記載する必要があります。


また、単に「月額20万円」と決めるだけでなく、なぜその金額になったのかを論理的に説明できることが重要です。「職務の難易度」「求められるスキル」「責任の範囲」といった指標を基に給与テーブルを作成し、それをベースに報酬額を決定するプロセスを文書化しておくことを強く推奨します。


労働条件の「平等性」と遵守すべき項目

報酬だけでなく、労働条件全体においても日本人と同等でなければなりません。具体的に守るべき項目は以下の通りです。


◇労働時間・休日: 労働基準法を遵守し、三六協定(時間外労働・休日労働に関する協定)の範囲内で勤務させなければなりません。


◇福利厚生: 社会保険(健康保険、厚生年金)、雇用保険、労災保険への加入は絶対条件です。これに加入させないことは、特定技能制度では致命的な法令違反となります。


◇教育・訓練機会: 日本人の従業員に対して実施している研修や能力開発の機会があれば、外国人材にも同様に提供する必要があります。


特定技能外国人に対し、「残業代を払わない」「休日を与えない」「有給休暇を取らせない」といった扱いは、制度の根本を揺るがす行為です。これらは不許可の対象になるだけでなく、最悪の場合、事業所への立ち入り検査や改善命令に直結します。


経営者が知っておくべき「賃金に関するトラブル」

実務上でよく起こるのが、「報酬から何を引き去ってもよいか」という問題です。特定技能制度では、外国人材が自由に使えるお金(手取り)を確保するため、「直接関係のない費用の天引き」を固く禁止しています。


例えば、食費、光熱費、住居費などを実費以上に高く設定して、あらかじめ給与から差し引く行為は厳しく制限されています。これらは「実費相当額」であり、かつ「本人と十分に協議して同意を得た」ことを証明できなければ、報酬の不当な天引きとみなされます。トラブルを防ぐためには、給与明細を透明化し、何が引かれているかを本人が理解できる環境を作ることが不可欠です。


まとめ:適正な賃金は、最強の「定着戦略」である

「報酬を高く設定すると、コストがかかりすぎる」と感じる経営者様もいらっしゃるかもしれません。しかし、日本の労働市場において、優秀な外国人材は常に選ばれています。適正な報酬と納得できる労働環境を提供することは、その人材を長期的に定着させ、生産性を向上させるための「投資」です。


最初から日本人と同等の給与体系を提示して雇用する会社には、意欲の高い優秀な人材が集まります。結果として、低い賃金で雇ってすぐに辞められてしまうよりも、はるかに高いリターンが期待できるのです。


次回は、「特定技能制度における『監査』と『定期報告』:もし立ち入り検査が入ったら」という、実務の現場が最も恐れるコンプライアンス管理の総仕上げについて解説します。


開田行政書士事務所のご紹介

開田行政書士事務所では、報酬規定の策定や、適法な雇用契約書の作成など、労働法務の観点から特定技能の受入れをサポートいたします。


【対応エリア】

熊本県内全域(熊本市、菊池市、合志市、菊陽町、大津町ほか)はもちろん、日本全国からのご相談に対応可能です。


【当事務所の強み】

特定技能の申請において、審査官は「賃金規定」と「労働契約」を非常に詳しくチェックします。当事務所では、貴社の既存の賃金規定と整合性のとれた給与設定を提案し、入管審査で「なぜその給与なのか」を合理的に説明するための補足資料作成も行います。「日本人との給与バランスが難しい」「手当の設定に悩んでいる」という経営者様、ぜひ開田行政書士事務所までご相談ください。


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