審査の最重要ポイント「生計要件」。年収いくらで許可される?【第3回】
永住許可申請のハードルが高いと言われる最大の理由の一つが、この「生計要件」です。入管法では「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」と定められています。
簡単に言えば、「将来にわたって公共の負担(生活保護など)にならず、安定して日本で暮らしていけるか」が問われます。第3回では、具体的に「年収いくらあれば安心なのか」という目安と、審査のポイントを深掘りします。
1. 年収の目安は「300万円」+α
入管から公式な数字は発表されていませんが、実務上の基準として年収300万円以上が最低ラインとされています。ただし、これは単身者の場合です。
扶養家族(妻や子など)がいる場合は、1人につき約70万〜80万円を加算して考える必要があります。
単身者: 300万円〜
夫婦(配偶者を扶養): 370万〜380万円〜
夫婦+子1人: 440万〜450万円〜
この金額を下回っていると、生計が不安定とみなされるリスクが高まります。
2. 「直近5年間」の継続性が重要
永住審査では、申請した年の年収だけが良ければいいわけではありません。通常、過去5年分の年収がチェックされます。
例えば、直近1年だけ年収が400万円あっても、その前の年が200万円台だったり、転職による無職期間が長かったりすると、「安定性がない」と判断されることがあります。5年間を通じて、上記のような基準を維持できているかどうかがポイントです。
3. 転職と年収の関係
キャリアアップのための転職であれば過度に心配する必要はありませんが、永住申請の直前に転職した場合は注意が必要です。
新しい職場での給与実績がまだ数ヶ月分しかない場合、審査官は「この会社で長く続くのか」を慎重に判断します。転職直後よりも、新しい職場で1年以上勤務し、住民税の課税証明書で1年分の年収が証明できるタイミングでの申請が理想的です。
4. 扶養人数の「入れすぎ」に注意
節税のために、母国の両親などを安易に扶養に入れているケースを見かけますが、永住審査においては逆効果になることがあります。
「年収400万円で扶養家族が5人」という状態だと、1人あたりの生活費が極めて少ないとみなされ、生計要件で不許可になる可能性が高まります。永住申請を見据えるなら、実態に伴わない過度な扶養は整理しておくべきでしょう。
5. 資産(貯金・不動産)の影響
「貯金が多ければ年収が低くても大丈夫ですか?」という質問をよくいただきます。
結論から言うと、最も重視されるのは「継続的な安定収入(年収)」です。数千万円の貯金があっても、現在の年収が200万円台であれば審査は厳しくなります。不動産や預貯金は、あくまで「年収を補完するプラスアルファの要素」として捉えておきましょう。
まとめ
生計要件は数字で明確に判断されるため、事前の対策が立てやすい項目でもあります。もし現在の年収が目安に届かない場合は、昇給を待つか、共働きで世帯年収を合算できる形(配偶者の在留資格による)を検討するなど、戦略的な準備が必要です。
次回、第4回では、年収と同じくらい厳格にチェックされる「公的義務の履行(年金・税金・保険料)」について詳しくお伝えします。
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