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「日本人と同等以上」の報酬と、建設特有の昇給・手当ルール(建設分野特定技能シリーズ第6回)

4月30日
読了時間: 4分

特定技能制度の根幹にあるのが、「日本人と同等以上の報酬を支払う」という原則です。建設分野では、この「日本人と同等」の定義が、他分野よりも非常に具体的に定められています。


第6回では、審査で必ずチェックされる給与設定の考え方と、2026年現在の実務上の注意点を解説します。


1. 「日本人と同等」をどう証明するか

申請時、企業は「比較対象となる日本人従業員」を特定し、その賃金表や給与明細を提出する必要があります。


同じ職務・経験の日本人がいる場合: その日本人と「同額以上」であること。


比較対象がいない場合: 賃金統計や、近隣の同業他社の水準を参考に、客観的に妥当な金額を設定する必要があります。


2026年現在、建設業界の人手不足により賃金相場が上昇しており、数年前の基準で設定した給与では「低すぎる」として、国土交通省の受入計画認定で差し戻されるケースが増えています。


2. 建設分野特有の「昇給規定」

建設分野の特定技能では、「技能の習得状況に応じた昇給」が義務付けられています。


1年ごとに、どのような能力が向上したかを評価し、それに基づき給与を上げる仕組みをあらかじめ契約書に盛り込まなければなりません。


「5年間ずっと同じ給与」という契約は認められません。


3. CCUSのレベルと賃金の連動

第4回で解説したCCUS(建設キャリアアップシステム)の能力判定結果(レベル1〜4)は、給与設定の強力な指標となります。


レベルが上がった(カードの色が変わった)タイミングで、それに見合った手当(技能手当など)を支給することが推奨されています。


2026年の運用では、レベル2(青)になったにもかかわらずレベル1と同じ賃金のままにしていると、コンプライアンスの観点から改善指導の対象となる可能性があります。


4. 残業代と諸手当の注意点

残業代: 当然ですが、割増賃金率は労働基準法を遵守しなければなりません。建設業においても残業時間の上限規制が完全に適用されている現在、長時間労働による給与の「水増し」は厳禁です。


住宅手当: 外国人のために用意した社宅の家賃を給与から天引きする場合、実費(会社が支払っている家賃)を超える金額を徴収することはできません。いわゆる「家賃での利益出し」は、不当な搾取とみなされます。


5. 同一労働同一賃金の「見える化」

2026年現在の実務では、単に「月給○万円」と決めるだけでなく、以下の構成を明確にすることが求められています。


基本給: 職務内容に応じたベース。


技能手当: 資格やCCUSのレベルに応じた評価。


精勤手当・家族手当: 日本人社員に支給しているものは、外国人にも同様の基準で支給する必要があります。


まとめ

「安価な労働力」として特定技能を活用する時代は終わりました。適正な報酬を支払い、それをデジタル(CCUSや振込履歴)で証明し続けることが、建設業許可の維持や公共工事の受注(経営事項審査の加点)にもつながります。


次回、最終回となる第7回では、受入後の最大の懸念事項である「失踪」の防止策と、トラブル発生時の緊急対応について解説します。


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