JAC(建設技能人材機構)への加入と受入負担金。コスト計算の全貌(建設分野特定技能シリーズ第2回)
建設分野で特定技能外国人を受け入れる際、他の分野(外食、介護、素形材など)と決定的に異なるのが、「JAC(一般社団法人建設技能人材機構)」という組織の存在です。建設業において特定技能制度を利用する場合、このJACへの加入と、それに伴う「受入負担金」の支払いが法律に基づく告示によって義務付けられています。
第2回では、2026年現在、特定技能外国人を1名雇用するために「最低限いくらかかるのか」というコスト構造の全貌を明らかにします。
1. JAC(一般社団法人建設技能人材機構)とは何か
JACは、建設分野の特定技能制度を適正に運用するために、業界団体が中心となって設立した組織です。
役割: 特定技能試験の実施、現地の送り出し機関との連携、受入企業への巡回指導(監査)などを行っています。
加入の義務: 国土交通省の「受入計画」の認定を受けるためには、JACの正会員である建設関係団体(日本建設業連合会や各工事業協会など)に所属しているか、JACに直接「賛助会員」として加入しなければなりません。
2. 2026年最新:受入負担金のコスト構造
JACに支払う負担金は、主に2種類あります。2025年の改定以降、金額設定が以前より明確化されました。
JAC賛助会員会費(団体に所属していない場合):
年額 24万円(月額2万円換算)程度。※所属する工事業協会(正会員団体)がある場合は、その団体の会費が優先され、JACへの直接会費は免除されることが一般的です。
受入負担金(外国人1名につき):
外国人1名につき、月額 1.5万円〜2万円 程度。
この費用は、JACが実施する巡回指導や、不適切な受け入れが行われていないかのチェック費用に充てられます。
3. その他に発生する「初期費用」と「維持費用」
JACへの支払い以外にも、以下のコストを予算化しておく必要があります。
登録支援機関への委託料(支援を外注する場合):
月額 2.5万円〜4万円 程度。特定技能1号の場合、四半期に一度の面談や生活支援が義務付けられており、これを自社で行わない場合は外注費が発生します。
CCUS(建設キャリアアップシステム)関連費用:
管理者ID利用料(年額)、現場登録料、および技能者登録料(本人分)。
送り出し機関・紹介手数料:
海外から新規で呼び寄せる場合、現地の送り出し機関への手数料が発生します。国内での「転籍(転職)」による採用の場合は、国内の人材紹介会社への手数料(年収の20〜35%程度)が必要です。
4. 忘れてはならない「日本人と同等以上」の給与原則
コストを計算する際、最も重要なのは「給与額」です。
技能実習時代との違い: 技能実習生は「最低賃金」に近い設定が多かったのに対し、特定技能は「同じ業務に従事する日本人と同等以上」の給与が必須です。
昇給の義務: 日本人の先輩が勤続年数や資格取得で昇給しているのであれば、特定技能外国人も同様の基準で昇給させなければなりません。これを怠ると、国交省の受入計画認定が取り消される可能性があります。
5. 2026年現在のコスト削減戦略:2号への早期移行
これら多くのコストを「負担」と考えるか「投資」と考えるかが分かれ道です。
特定技能2号へ昇格すれば、JACへの負担金や登録支援機関への委託料が大幅に軽減、あるいは不要になるケースがあります。2026年のトレンドは、初期コストをかけてでも「2号」という熟練工を早く育成し、長期的なトータルコストを抑える戦略です。
まとめ
建設特定技能は、月額換算で数万円の法定費用が発生する「コストの高い」制度に見えるかもしれません。しかし、これは「適正な雇用」を証明し、現場のコンプライアンスを守るためのコストです。この透明性こそが、優秀な外国人から「選ばれる建設会社」になるための唯一の道なのです。
次回、第3回では、特定技能外国人が合格しなければならない「3つの評価試験」と、2026年現在の日本語要件の合格ラインについて詳しく解説します。
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