義務的支援(4):定期的な面談と定期届出を支える報告実務(特定技能制度登録支援機関シリーズ第7回)
登録支援機関の業務の中で、入国後の継続的なウォッチングとして最も重要なのが、3ヶ月に1回以上実施しなければならない「定期的な面談」です。これは単なる雑談ではなく、労働法規の遵守状況や、不適切な扱い(ハラスメント等)がないかを確認する法的儀式でもあります。
第7回では、面談の実務と、受入企業(特定技能所属機関)の義務である「定期届出」を支援する際の見落としがちなポイントを整理します。
1. 定期的な面談:対面と多言語が鉄則
登録支援機関は、特定技能外国人と、その上司(支援責任者または担当者)のそれぞれと、3ヶ月に1回以上面談を行わなければなりません。
実施の方法: 原則として「対面」で行います。2026年現在はオンライン面談も一定の条件下で認められていますが、現場の雰囲気や本人の顔色を察知するためには、事業所への訪問が推奨されます。
言語の壁: 外国人本人との面談は、必ず「本人が十分に理解できる言語」で行います。通訳を介するか、多言語対応の支援員が直接話を聞く必要があります。
場所の配慮: 会社の上司が同席していると、本音(給与の不満やハラスメントの訴え)が言えません。必ず「上司と離れた場所」で、一対一で話せる環境を確保します。
2. 面談で確認すべき「3つの核心」
面談記録簿には、以下の項目が網羅されている必要があります。
生活状況: 日本での生活に困っていないか、近隣住民とのトラブルはないか、健康状態は良好か。
労働条件の遵守: 事前に合意した給与が正しく支払われているか、残業代に未払いはないか、不当な天引き(「寮費」という名目での法外な徴収など)がないか。
入管法・労働法違反の有無: パスポートや在留カードを取り上げられていないか、外出を制限されていないか。
3. 受入企業の「定期届出」への情報提供
第5回でも触れた通り、受入企業は1年ごとに「定期届出」を入管に行う義務があります。
支援実施状況報告書: 登録支援機関は、この3ヶ月間で行った面談の結果や、実施した支援の内容を整理し、受入企業が提出する報告書の作成を全面的にサポートします。
2026年の実務ポイント: 2026年現在は、面談記録をデジタル化し、受入企業の担当者とリアルタイムで共有できるシステムを導入する機関が増えています。これにより、届出直前に慌てて書類を作成するリスクを回避できます。
4. 通報の義務:問題を発見した時の対応
面談の結果、もし受入企業側で「労働基準法違反」や「不適切な扱い」が発覚した場合、登録支援機関にはそれを入管や労働基準監督署へ通報する義務があります。
板挟みの解消: 登録支援機関は受入企業から委託料をもらっていますが、法的には「外国人の保護」が優先されます。問題を隠蔽した場合、登録支援機関自身の登録が取り消される重いペナルティが課されます。
5. 2026年のトレンド:面談を通じた「キャリア形成支援」
最近の優秀な支援機関は、義務的な確認だけでなく、本人の「次のステップ」を支援する場として面談を活用しています。
2号評価試験・技能検定への挑戦: 特定技能1号から、家族の帯同が可能な「2号」への移行を目指すためのアドバイスや、必要な試験のスケジューリングを面談の中で一緒に行います。
まとめ
定期的な面談は、トラブルの芽を早期に摘み取るための「検診」のようなものです。現場に足を運び、本人の声に耳を傾けるというアナログな積み重ねが、結果として受入企業のコンプライアンスを守り、特定技能制度の成功へと繋がります。
次回、第8回では、登録支援機関が絶対にやってはいけない「禁止事項」と、コンプライアンスの落とし穴について詳しく解説します。
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